カテゴリ: FZR750

本来は燃料ポンプ作動用リレーからイグナイターに入る青/白ハーネスは、イグナイター変更により接続箇所がなくなった為、手動切り替えスイッチ方式に変更しました。

スイッチの位置は水温計の下あたりに設置。

繰り返しテストしましたが、エンジン停止で常時オンでもオーバーフローは無さそうです。
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イグナイター変更に伴う改造もまとまり、アイドリングや回転の上がり具合などチェックしている途中で…もう一つ問題が発生しました。

オルタネータの故障です。


エンジン回転をあげてもバッテリー電圧は変化しません。
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オルタネータラインのコネクターは溶けていて、これはGSと全く同じような現象です。
(でも問題はここでは無いようです)
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怪しき部品はオープンチェックが基本です。
左側が故障したオルタネータ。
右側はオークションで手に入れたオルタネータ。
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ブラシが当たるスリップリング部にて導通が無い為、ローターコイル断線が確定。
これは珍しい現象です。
(通常ICビルトインオルタネータはブラシの摩耗かダイオードの故障が多い)
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オルタネータをアッセンブリー交換し、仕切り直して始動。
今度はアイドリングも安定しました。
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アイドリングで充電電圧は13V以上、3000回転では14V以上発生するので合格です。
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調子よくアクセルをブンブンと吹かしていると、ガソリン臭がしてきました。
今度は

燃料コックから燃料漏れ

コックを分解するとOリングが切れていました。
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部品を交換し、燃料コックは復帰。


近所をグルグル回り試運転。
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普通に始動して、走れるようになりました。
最後にフロントフォークのオイルシールを交換して、アンダーカウルを装着し、ようやく終了です。
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こういう80年代のレプリカスタイルのマシンは絶滅が近そうです。

不人気故に価格が底値なので、粗末に扱われたり捨てられたり。

でもこの先20年位所有すれば、間違いなくお宝になる事でしょう。



セルモーターが滑ってエンジンが始動しないFZR750。

これまでの流れをまとめると、
①破損したスタータークラッチを理由にFZR750エンジンを諦める。
②オクでFZ750エンジンを手に入れる。
③オイルパンとストレーナーとポンプを入れ替える
④FZ750エンジンを搭載する。
⑤ピックアップセンサーの数が違う事に気付く。


点火システムに互換性が無い→困った困った。

ということでオーナーに落札して頂いたFZ750のイグナイターが届きました(左側FZ750 右側FZR750)
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しかし、そのまま装着しただけでは点火しません。なにせピンの数が違いますからね。
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そこでコネクターの挿してある位置を変更する必要があります。
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この状態に変更しプラグに点火、そして始動出来ました。
しかし青/白のハーネス(燃料ポンプリレーのマイナスコントロール)のコネクターが挿さる場所がありません。
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この部分も工夫が必要となります。

一難去ってまた一難

いつまで続くのでしょうか?










スタータークラッチに致命的な欠陥を内包しているFZR750。

何とか手に入るパーツを組み合わせ、新車レベルのスターティングシステムを確立しようと思っていましたが、今回は断念しました。

やはりコスト面と、その先にあるミッションへのダメージのリスクなどネガティブな要素が排除出来ない為です。

そして代替え案として、エンジン載せ替えを選択する事としました。


載せ替えるエンジンはこちら。
某オークションに出ていたFZ750のを落札。
(互換性は不明)
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届いたエンジンを少しだけ分解して比較しました。
上の3部品がFZ750
下の3部品がFZR750
左:オイルポンプ
真ん中:オイルストレーナー
右:オイルパン
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指をさしているところがFZR750のオイルクーラー取り出し部です。



エンジン型式が一緒とは言え、オイルポンプ脱着など結構分解と組み替えが必要なのですね。
(念のためリリーフバルブも入れ替えました)
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そして必要最低限のガスケットを交換して、組み上げたFZ750のエンジンを猛然と車体に搭載。
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クーラントやエンジンオイルを入れ、クランキングさせます。

でも…ここにきて、プラグに火が飛ばず……。

ピックアップセンサーが2個のFZ750エンジンと、FZR750のイグナイターのマッチングはダメみたい。

FZR750はピックアップセンサー1個で8パルス拾っていますからね。

という訳でプラグに火を飛ばす方法は2つです。
①クランクシャフトをFZR750用に入れ替える。
②イグナイターをFZ750にする。

どちらを選ぶかはオーナーの判断次第ですけど。













数日前に分解したFZR750のエンジンですが現時点で頓挫しております。

その理由はスタータークラッチとアイドラーギヤの純正部品の供給停止。


この際、かろうじて供給されているYZF750SPのスタータークラッチ(3GM-15580-00)とアイドラー(4BH-15517-00)を入手しました。

YZF750SPのスタータークラッチとの勘合部の径、実測値47.2m
ギヤ歯数49丁
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破損しているFZR750の勘合部の実測値42.12mm
ギヤ歯数53丁
つまりこの時点で新品部品は使えない事が確定しました。
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何とかこのYZF750SPの新品スタータークラッチを利用し、FZR750のアイドラーと合体させたい。
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近所の加工屋さんも巻き添えて、
新品スタータークラッチと中古アイドラーの合体計画を立ち上げました。


まずは旋盤にFZR750用のスターターアイドラーを装着する治具を作り、
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寸法を合わせる為の内径交差0.08mmカラーを圧入し、外郭を削りました。
(このFZR750のアイドラーは多角的に色々寸法測りましたが精度は悪いです)
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取り敢えず完成したアイドラー
この部分の外径を片側2.5mmずつ増やしたことになります。
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新旧部品が合体します。
YZF750SPの新品スタータークラッチと
FZR750の中古品アイドラー
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しかし完成度としては70%で、実は大きな問題を抱えています。
圧入したカラーの材質はSCM430。
この材質は焼き入処理が前提になるのですが、圧入後に焼き入れすると色々な問題が起きてしまいそうです。

かと言ってカラーを圧入前に焼き入れすると、今度は外郭の切削がやりにくくなる訳で、
つまり現状の圧入カラーの外郭は表面処理未実施ということになります。

しかも圧入時に炙ってアズキ色にまで温度を上げています。外郭表面も硬いところと柔らかいところがありまして、一定の硬度ではありません。

このままの使用はちょっとリスク大。
私のバイクなら試して良いですが、依頼されたバイクで壊す要素を取り入れたくないですからね。




車体から外したエンジンは、まず最初にひっくり返します。
オイルストレーナーなどの突起物が変形しないようにあらかじめ、この段階で外しておきましょう。
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オイルの潤滑パイプを外す時は、取り付けボルトと供回りしてクラックなど入らないように慎重に外します。

そしてオイルポンプもこの段階で外しておく必要があります。なぜなら、クランクケースの締結ボルトが隠れているからです。
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このFZR750のエンジン。クランクケースを分割するためにはヘッドやシリンダーも外さないと分割出来ません。
それこそ、本格的な総分解が必要なのです。

たったセルモーターのスタータークラッチごときで。
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ようやくクランクケースを分割出来ました。
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トランスミッションアッセンブリーを外すとようやくスタータークラッチが現れました。
茶色いところにクラックらしき損傷を発見。
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しかしここまで来ても、まだまだカンタンにスタータークラッチを摘出出来ません。

専用のシャフト引き抜き工具を製作しました。
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引き抜き工具をセットして、スライディングハンマーでシャフトを引っこ抜きます。
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ようやくエンジンの1番奥深くにある、スタータークラッチを摘出出来ました。
ここにもクラックが見えます。
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細分解します。
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スプリングが収まる周辺ですが、完全に割れております。
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不慣れなエンジンということもあり、この段階まで来るのに丸2日を要しました。



しつこいようですが、GS1000ならボルトを数本外すだけでワンウェイクラッチを交換出来ます。
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やっぱバイクは70年代のGSシリーズが最高っす。












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