カテゴリ: オイル上がり オイル下がり
GS750 朝一マフラーからの煙の正体の続き
前回のおさらいで、マフラーからの煙は朝一のみ発生ということは、
エンジンを止めた停車時のエンジンオイルの流れをイメージ。
タペット周りのオイル溜まり→ステムシールのシールリップ部又はシール内周面→バルブとバルブガイドの隙間→シリンダー内にオイルがポタポタ落下。
このオイルが溜まり過ぎると、次にエンジンを始動したとき豪快に白煙を上げてしまう訳です。
(厳密にはバルブの8箇所全てから同時に漏れ出す訳ではないので、1箇所だけならそれほど煙は出ないはず)
なので今回のエンジンは全てのバルブガイドとバルブを交換する訳です。
※基本的に往復運動する部品は、オス側とメス側をリニューアルすることが基本。この場合オス側はバルブでメス側はバルブガイド。
でもせっかくシリンダーヘッドを加工するなら消耗品リニューアルの意味合いで、ピストンとピストンリングも4箇所交換と、シリンダースリーブ拡大加工を実施します。
(この場合ピストンとピストンリングがオス側でスリーブがメス側)
大パワーを求める訳でないのなら、0.5mmオーバーサイズ(オス側のリニューアル)が良いです。
末永くGS750と付き合うならば、ボアは少しずつ広げていきたいですよね。
0.5mmオーバーサイズピストンに合わせスリーブを内燃機加工屋さんに出しました。
(つまりメス側をリニューアル)
シリンダーを車体に組み付ける前に忘れてはいけないのがこれ。
純正のOリングは使用せず液状ガスケットをシリンダーのスリーブの間の溝に塗布。
(塗る前にパーツクリーナーで十分脱脂)
液状ガスケットが硬化する時間に、古いガスケットを剥がし次の作業に備えます。
GS750 朝一マフラーからの煙の正体
取り外したシリンダーヘッドを裏返して、各気筒ごとの汚れ具合をよーく観察してみましょう。
ここはアイスコーヒー(冬ならアイスコーヒー)でも片手に時間をかけて調べるのがお勧め。
下の大きい丸の方がインテークバルブです。
縁の色がなんとなく模様に見えません?そして少し油で濡れている感じがしますよね。
エンジンの左から1番目と3番目のインテークバルブにオイル下がりの傾向が見られます。
4箇所のインテークバルブを半分だけ抜いてみます。
写真だとわかりにくいですが、バルブの棒の部分から傘に渡って油で濡れています。(3番)
インテークの1番は傘に付着したカーボンを洗い流す位、強烈にオイル下がりしていたようです。
上記のようなオイル下がりの原因は、主にステムシールである可能性があります。
でもこのシリンダーヘッド、既に誰かが交換した形跡がありますね。
私はシールを外す時の力加減で分かるんです。
(何度もやっていれば誰でも分かってくる)
あとはバルブの摺動部の磨耗。
光っているところが1番磨耗する箇所です。
(左は参考の為に新品を置きました)
この磨耗レベルですとマイクロメーターで測定しても、寸法の違いは見受けられませんよ。
ステムシール→OK
バルブ→OK
ということは残りのバルブガイド→NG
ということが理解出来ますが、
実際にはステムシールもバルブもバルブガイドも全てセットで交換する流れとなります。
GS750 朝一マフラーからの煙の正体
こちら修理+車検でお預かりしている初期型GS750です。
しばらくぶりにエンジンを始動し、マフラー出口より煙が出る場合、主にシリンダーヘッドに原因があります。
この車両のオーナーもそれが悩みだったそうです。
それならば悩みを解決すべく修理をしましょう。
GS750はエンジンを外さずして、シリンダーヘッドとシリンダーが外れる親切な構造となっています。
マフラーから煙を吐く場合の対処方法は、
①シリンダーヘッドのステムシール8個 バルブガイド8本 バルブ8本を交換してオイル下がりを防ぐ
②ピストンをオーバーサイズにしてピストンクリアランスを正常にすることによりオイル上がりを防ぐ。
③分解と組み立てにおいて正確な作業を行う。
④信頼の置ける内燃機加工業者に加工を依頼する。
この4つが要点となっております。ヘッドとシリンダーはセットで作業してしまうのが正しい選択です。
GS750を長きにわたって所有するにはここは避けて通れない道なんですよね。