カテゴリ: GS750E 2号車修理

車体に損傷を受けた時、確実にダメージを受ける部品がメーターステーです。
一見問題無さそうに見えても、変形してます。
(それが例え買ったばかりのGS750だとしても…)
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四方、八方から眺めると歪んでいるのが分かります。

コツとしては手前と向こう側を比較すると良いのですが、どちらが基準になるのかは作業者の判断に委ねられます。
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車体に装着する側の曲がりに関しては、ここの角度がメーターの取り付け角度に影響するので慎重に叩いて直します。
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こんな感じかな。
(手前と向こう側が平行かよく確認しながら両方共修正していく)
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一度叩いたら、その箇所だけに集中せずその都度全体を見てバランスを整えます。
そうする事で、新たな修正箇所を発見出来ます。
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私がこれまで何度か経験しているメーターステーの修正作業。
大まかに、丸で描いた箇所で曲がっている確率が高いです。
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あなたのGS750、乗っていて何となくメーターがグラグラ。
そしてメーターカバーに凹みがある。

そんな時一度チェックしてみる価値はありますよ。



GS750の変形したライトステーを修理します。

ライトステーなどの鉄部品は比較的柔らかいので、余程ちぎれたりしない限りは、ハンマーで叩いて修理する事が可能です。

例えこんなに変形していても、
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当て棒とハンマーを駆使して叩きます。
(何度も叩き過ぎると鉄が伸びてしまい、その結果修正不可能になります)
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おおよその形に修正出来ました。
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ちなみに修正前はこんな感じ。
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長さなど細かい寸法は、実車と比較しながら進めると良いでしょう。
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鉄は叩いて直りますが、くれぐれも手は叩かないように十分気を付けましょう。

2019年も宜しくお願いします。



さてさて。
静かな元日もひっそりとGS750を進めます。

ところで古いオートバイって、フレームが鉄で出来ていますよね。


そのフレームって製造されてから長い時間が経つとどうなるのか考えた事あります?

時系列的に考えましょう。

①新車が納車されて現在までの約40年。本来フレームに施されている塗料。この塗料が劣化、傷などによる剥がれで、素材の鉄がむき出しになる

②むき出しの鉄に水分が付着すると大気中の酸素を呼び、鉄の電子が水分に取り込まれる。

③水分だけが蒸発し、鉄の表面に錆びが発生。

④錆びは表面がデコボコしていて、表面積が大きいゆえに水分や汚れを溜めやすい。
よって一度錆びが発生すると、加速度的に更なる錆びが進行していく。

この私達が住む自然界で、工業製品として還元された鉄部品は、時間が経つと必ず酸化反応し、安定した状態に戻ろうとします。



つまり鉄で出来たフレームは必ず錆びて鉄鉱石のような状態に戻ろうとする訳です。




これを防ぐためには、我々レストアラーが何らかの手立てで酸化反応を遅らせる必要がある訳なのです。
 
オートバイのフレームを長〜い時系列で整理してみましたが、塗装前の下地処理が本当に重要である事が理解出来ましたね。


それでは本題の作業です。
錆びた部分を完全に露出させるために、剥離剤で塗料を剥がしていきます。
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エンジン搭載部の作業前
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エンジン搭載部の剥離後
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一見良さそうに見えますが、黒い部分は表面が酸化している証拠。
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平滑にして、錆びの表面積は限りなくゼロに近づけましょう。
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このように、40年前のフレームの錆びを削り取っていく作業はとてつもなく手間がかかります。細かいところまで真面目にやったら間違いなく1週間以上かかるでしょう。


世間一般的な下地処理というものは一体どの程度なのでしょうか?



追記
乾燥した寒いこの時期がベストな作業条件です。
何故なら夏場は手汗をかきます。
人間の体液は塩化物イオンが含まれているので、素手で鉄の素地に触ると錆びが激しく進行する為です。


















フレームの細かなブラケットの移植が終わりました。

ところでこのフレームは気になるところがあります。
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エンジンの搭載箇所周辺の錆が多いのです。
通常は走行中雨水などがかかっても、エンジンの発熱で乾いてしまいます。
また、エンジンから油漏れなどをしていれば搭載箇所周辺のフレームに錆が発生している事はあり得ません。(油漏れは周辺部が錆びないという点でメリットにもなりますね)
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剥離剤を塗って全て下地を出してしまいましょう。
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黒い塗料の層が剥離されました。
このフレームは一度塗り直されています。
何故ならオリジナルフレームは白いサフェーサーなど塗られていませんので。
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これはイグニッションコイルの装着される下側。
普通ここまで茶色く錆びないでしょう。
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作業中に思い出したことがあります。
このフレームが単品で送られて来た時の事。梱包ラップが古い風化気味のモノで巻かれていました。

つまりラップが巻かれたまま屋外に放置されていたフレームですね。
梱包ラップ内に侵入した雨水が外部に抜けずにフレームを錆びさせてしまったようです。

オートバイの単品部品は室内に保管したいものですね。




タンデムステップが切り取られたフレームにノーマルマフラーを装着する為、別車両から切り取ったタンデムステップを溶接しノーマルルックを復活させます。

ノーマルマフラー装着には、タンデムステップ自体にマフラーを取り付けるブラケットの役割も担っているので、切り取られた部分を元通りにしなければならない訳であります。


正確な位置にマフラーを取り付けるには一度エンジンをフレームに載せて、エキパイからマフラーまでを取り付け、溶接箇所を見つける必要があります。
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タンデムステップの位置出しは、前後、左右、上下と3次元的に行うのは当然の事ですが、それと同時にメインステップのボルトの穴位置も確認することも重要です。

後で 「ステップが付かなかった 」なんて悲惨な目に遭いたくないですからね。
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仮溶接でもスパッタがマフラーに落ちると黒く焦げてしまうので、ガムテープで養生します。
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右側マフラーの位置が出ました。
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左マフラーも同じように位置が出ました。
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左右とも仮溶接か済んだので、再びマフラーとエキパイを外して、エンジンを下ろします。

そしてフレームだけの状態にしてから本溶接します。

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