2018年02月

現在CBX400Fのエンジンを分解していますが、分解で重要なのはボルトを緩めながら、部品を取り外しながら異常に気付くかどうかです。

やった事もない人に限って
「分解なら俺にも出来るけど、組み立てが出来ないんだよね。」
とかカッコ付けて言っているつもりでしょうけど実際は違います。

分解にどれだけ集中して色々な情報を得るかなのです。
初めて触るエンジンなら達人になればなるほど時間をかけるのです。

私の場合GS750なら1時間もあれば分解出来ますが、それは全て部品の位置関係や向き、正常な状態を把握しているからであって、作業の早さが先にある訳ではありません。
膨大な経験があってこその、それら早さという結果なのです。

まあバイクに限らず因果関係が逆転した常識って多いですよね。


今回のエンジンの気づきは、
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クラッチリフタープレートの割れ…
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なぜ割れたのか?
割れた破片はどこにいったのか?
を考える必要があります。
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外したロアーは別の部品と比較します。
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ケースの底にはなにかが激しく当たった跡が残されています。
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正常な部品には当然そのような跡は無いですね。
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その他の打痕も確認します。
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全ての打痕を確認したら、それらの位置関係を把握して頭の中でエンジンを始動させるのです。
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また色も重要です。
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クランクシャフトが青く変色しています。
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一つ一つの異常に気付き、納得出来る原因を突き止める。
因と果が逆にならないように!





























有明港に着きました。

東京と沖縄を結ぶ貨物船にGS750 6号車を乗せる為。
そうです。
私にとっては今日で6号車とは暫しお別れなのです。
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オーナーは到着を今か今かと待ちわびている事でしょう。

つまり私にとっては別れですが、この3日後オーナーにとって新しく生まれ変わったマシンとの出会いになるはずです。

出会いと別れは紙一重という事ですね。




箱に詰めた荷物を発送する訳ではないので、船積み前の保管、フェリーの乗船中などあらゆる不安がよぎります。
そこで必要最低限、突起部分や塗装面に保護シートを貼りました。
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荷の受付時間ギリギリまで眺めていたら、受付係の方ともバイクの話ですっかり盛り上がってしまいました。
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そして港を後にした私。
次のGS750計画に移ります。




旧車が旧車らしくある為に、構成部品は出来るだけメカニカルな状態でありたいと言うこだわりの人達も多いと思います。

20年後の未来にはポイント式点火かどうかが希少価値の別れ道かもしれません。


今日はストック品の点火装置を分解点検です。
左がコンタクトブレーカーアッシ
右がガバナーアッシ
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このガバナーアッシは片側のツノが折れて無くなってますが緊急時の使用には問題無いでしょう。
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それより問題はウェイトが軽い力で開かない事
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ドライバーでこじって開いてもスプリングの力で戻りません。
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そんな時は間髪入れず分解しましょう。
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この円柱状の部品がブレーカーカムですが、肉厚の厚い部分でコンタクトポイントのヒールを押し上げるようエンジンの回転と共にクルクル回っている訳です。(組み立て時に180度逆に組むとエンジンかからなくなるので注意!)
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ブレーカーカムの内周面はグリス溜まりの溝があります。
ここのグリスは定期的に交換してスムーズに回るようにする必要があります。
動きが固いと正常な進角が行われないので。
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高性能なトランジスタ点火装置だとブラックボックス化されてしまいますが、このようにメカニカルな構造だと自分で触れる楽しみが残されます。

GS750と出会ってから今日に至るまで、レストアやカスタマイズを施していく中多くの人とも出会い、嬉しさや楽しさを共有してきました。

そして旧車での旅の心地よさや清々しい気持ち。それらを仲間と共有出来ることは格別です。

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己の知識や経験も日々ブラッシュアップされ、今では多くの方から技術的な相談や作業の依頼を受ける事も増えてきました。

そこで、「自分は何の為にこのことをやっているのだろうか?」と単純ながら疑問を持ち始めたのは数年前。

今現在、自分なりに導き出した回答は…


①日本が世界のトップに躍り出た工業製品であるオートバイを、新車状態に一台でも多く復元し後世に残す。

②自分の手で付加価値を生み出すことの喜びを伝える。


以上の考えに行き着きました。
たまには自分の行動を俯瞰的に捉えるのも重要ですね。







私が初めて点検するGS750はとても興味深い状態で驚きの連続です。

先ずは先日もお伝えした通りキャブレターオーバーフローを修理するだけのつもりが結局シリンダーケースを分割する事になり、摘出とエンジン組み立て、車体に搭載となりました。
然るべき箇所にマイナスケーブルを共締めする事ができました。
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例のハンドルストッパー噛み込みハーネスも、中身を確認する必要があります。
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幸い被覆が剥けたり、切断している箇所はないのですが、潰れかけています。
それらは修正を加え、取り回しを変更しました。
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キャブレターやその他諸々の作業を一通り終え、納車前に試運転を行います。
今日は富士山もよく見え最高のコンディション。
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そうそう。
今回はオーナーが準備していたタンデムバーやフェンダーレスキットも装着しました。
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このフェンダーレスキットはつける前に少し嫌な予感がしていましたが、案の定タイヤと干渉…
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既製品でこのような事が起こってはいけませんね。

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